Vol06-2:2016「三井住友VISA太平洋マスターズ」松山英樹 通算23アンダーの大会記録で圧勝

松山英樹の参戦でプロアマ大会の日から大いなる盛り上がりを見せた2016『三井住友VISA太平洋マスターズ』 (11月10日〜13日・賞金総額2億円)。松山が十二分に実力を発揮し、今大会2勝目を挙げました。初日からのリードを徐々に広げていき、終わってみれば2位に7打差をつける通算23アンダーで大会記録となりました。

「海外でプレーするようになり、コースが易しく感じられました」

「アマチュアで優勝(通算13アンダー)した5年前は、天候の影響で3日間になるほどだったので、確かに今年に比べるとコンディションは難しかった印象があります。でも、それ以上に今年の方が易しいと感じられたのは、海外でいろいろなコースを回ってきたことで少しは成長したためかなと思います」「5年前の優勝時と比べて、御殿場コースの印象は変わりましたか?」という問いに松山はそう答えました。5年前にアマチュアで出場して優勝した時と比べ、自信に満ちた丁寧な受け答えで、言葉の量も増え、プロアマ戦でのギャラリーへの対応を見ても、人間的にも成長した様子が伺えました。

プロアマ大会ではファンに大サービス。
子どもにサインしたボールを放り渡す余裕も

松山は、3年前の2013年大会にはプロとして出場して28位タイに終わっています。当時、松山は国内3勝で賞金ランキング1位の座にありましたが、国内競技は2ヶ月ぶりということもあり、石川遼の2連覇にギャラリーの注目が集まりました。結局、松山は4日間通算3アンダー28位タイに終わり、石川は優勝した谷原秀人に1打差の2位タイで注目され、松山は成長途上の印象を拭えませんでした。
しかし、3年間で石川との立ち位置が大きく逆転し、自身も周囲も大きく変わったことに気づかされます。プロアマ戦の日、一番驚かされたのは、4番Par3ホールのティーインググラウンド後方でティーショットを見ようとしていた時のこと。前の組のパッティングを待っていた松山が、ボールを取り出してサインすると、近くで見ていた小学生くらいの子どもに小さく放り渡したのです。それはごく自然な振る舞いで、松山の米ツアーでの成長ぶりを実感させるものでした。それ以外にも松山はホール間の移動中に何十枚と差し出される色紙や帽子などにサインをしたり、記念撮影に応じたりしていました。

初日、「ショットもパットもまだまだ」で
1イーグル、 6バーディー、1ボギーの65で単独首位

第1日目、10番からスタートした松山の第2打はピンに一直線。ボールはカップ直前に落下してピンに当たってカップの縁に。11番Par5はピン手前5メートルに2オン。イーグルは取れなかったものの、楽々と連続バーディー。その後は、なかなかバーディーチャンスにつかず、16番ではバーディーを奪ったものの、第2打はグリーンを外してチップインバーディー。18番Par5は同組の谷原秀人とアマチュアの比嘉一貴が第2打をレイアップしたのに対し、松山は4番アイアンでピンがある2段クリーンの上の段にキャリーさせ、ボールはピン右手前3.5メートルに。慎重にラインを読んでジャストタッチで沈めてイーグルを奪取。前半5アンダーで早くも首位に立ちましたが、18番のイーグルについて「たまたまイーグルチャンスにつきましたが、満足できるショットではありませんでした」とホールアウト後の会見で明かしました。
後半もショット後に素振りをしたり、体の動きをチェックしたり、調整段階の様子を窺わせつつホールを重ねたものの、「まだこのコースのグリーンのスピードにタッチを合わせられていない」という松山は4番で3パットのボギー。それでも、6番Par5で2オン2パットのバーディーのほか、5番と8番のPar4でバーディーを取り、2位の宮本勝昌に1打差の首位で初日を終えました。

2日目、14番からギアが入り、2位に2打差の通算13アンダーで首位を守る

2日目、前日のプレー終了後の会見で、「明日も1つでも多くのバーディーを取って皆さんに喜んでもらいたい」と語っていたものの、前半アウトはなかなか思い通りにはいかず。バーディーは3番と6番 のPar5だけと寂しい内容で、8番でボギーを叩くと重い空気が漂い始めました。歓喜の声が上がったのは、その後の9番でした。左上からの下りのパットが最後の一転でカップに吸い込まれると、その瞬間まで静まり返っていたギャラリーから、大歓声が沸き起こりました。さらにアウトで2つ伸ばした松山でしたが、インに入ってもショットが安定せず、ギアが入ったように見えたのは14番から3ホール続くPar4。3ホールともピンを刺す第2打を放ち、カップ近くにピタリと止めると3連続バーディー。 17番は1オン2パットのパー。迎えた最終ホールは「寒さで思うように飛びませんでした」という第2打がわずかにグリーンに届かず。期待したチップインイーグルはホールカップの縁に止まってバーディーに終わったものの、ギャラリーは十分満足感を味わったようでした。結局、2日目は66で回り、通算13アンダーとして2位の朴相賢に2打差の首位を守りました。プレー後の会見では、「雨でグリーンのスピードが若干遅かったので下りのパットが助けられましたが、明日から晴れてスピードが速くなった時に合わせられるかどうか」と少しばかりの不安を口にしていました。

3日目、7バーディー0ボギーの65
2位に6打差の独り旅

3日目は土曜日で小春日和ということもあり、6,107名のギャラリーが観戦。「世界のHideki Matsuyama」の飛距離とショットの凄さ、精度を生で一目見ようと集まりました。松山は「調子があまり良くないのでパープレーくらいでも」と緩やかにスタート。実際、前半は2度 のピンチに見舞われ、7アンダー65。1番ではティーショットを右のラフに入れ、第2打をグリーン左に外すピンチに見舞われたものの、絶妙のパットでボギーを防ぎました。5番で初バーディー後、6番Par5でもティーショットを右の林に打ち込み、ボールは張り出した木の根に寄り添う最悪の状況に。何とか脱出に成功するものの、第3打は左奥のガードバンカーへ入り、第4打はグリーン手前の池に向う下り傾斜へのバンカーショットになりました。ボールはピンを4メートルオーバーし、ラインを何度もチェックして打ったパーパットはカップに沈み、松山は小さくガッツポーズを見せました。ラウンド後に「あのパーパットが大きかった」とコメントしたように、明らかに今大会のターニングポイントとなるパーパットと言えるでしょう。7番はパーでしたが、続く8番から11番の4ホールを連続バーディー。さらに、16番、18番もバーディー。べストスコアタイの65をムービングサタデーに首位の松山がマークしたことで、2位との差は大きく広がり、松山の通算20アンダーに対して2位の宋永漢は通算14アンダーで、まさに“独り旅”となりました。

久保 健(三井住友カード株式会社 代表取締役社長)大会会長(右)と韓俊(株式会社太平洋クラブ 代表取締役社長)大会副会長(左)の祝福を受ける松山英樹とベストアマを獲得した比嘉一貴選手
単独2位は、一時は松山に3打差まで迫った宋永漢だったが、最終的には7打離された

最終日は「ギャラリーの声援に助けられ」、
通算23アンダーの大会レコードで優勝

最終日のメディアやギャラリーの関心は、松山の優勝は当然として、幾つスコアを伸ばすかに向けられました。2番、3番の連続バーディーで大会レコードに並び、4番以降のバーディーの積み重ねを予感させましたが、この日も6番Par5でトラブルに巻き込まれました。ティーショットを前日とは反対の左の林に打ち込み、 「更なるトラブルに陥ることを避ける意味もあって」(松山)アンプレアブル。第3打はフェアウェイ右サイドに打ち出したものの、池越えとなる第4打はグリーンに届かず、ボールは戻って池に。ドロップ後の第6打を寄せて何とかダブルボギー。続く7番は、グリーンと右手前のバンカーの間からのアプローチショットをライが悪かったこともあってダフってボギー。8番はバーディーとしたものの、9番では第2打をグリーン手前のバンカーに入れ、バンカーショットがピンをオーバーして難しいパーパットを外しました。 アウトは1オーバー37。4日目のアウトで、初めてハーフでオーバーパーを記録しました。これで2位の宋との差は6打差から3 打差に縮まりました。
このピンチを救ったのは、ギャラリーの声援でした。9番のボギーでさすがの松山も「苦しくてしんどい思い」になっていたといいます。しかし、10番のティーインググラウンドに向う際、「ギャラリーから『ガンバレ、ガンバレ』『コレカラ、コレカラ』と声を掛けていただきました」と、気持ちをリセット。11番のバーディーでこの日のスコアをパープレーに戻すと13番、15番、16番でバーディー。最終ホールは第2打を右の池に入れたものの、ドロップ後の第4打 をピン奥の傾斜を使って戻して、あわやバーディーとなるパーで終え、最終日は69。通算23アンダーの大会レコードで2011年大会に次いで今大会2勝目をあげました。

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