Vol07:2016「TOTOジャパンクラシック」USLPGAツアーのトップランカーも称えた 美野里コースの美しさと醍醐味

2016年度のUSLPGA(全米女子ゴルフ協会)ツアーの公式戦であり、JLPGA(日本女子プロゴルフ協会)の終盤戦の重要な位置づけとなるトーナメント「TOTOジャパンクラシック」が太平洋クラブ美野里コースで行われました。両協会から選出された78名の女子プロたちによって、11月4日(金)〜6日(日)の3日間競技は行われ、中国のフォン シャンシャンが3日間通算13アンダーで優勝しました。

米国・日本のトッププロが参加する“ビッグな”大会
プロアマ戦でコースの特徴をリサーチ&チェック

USLPGA所属選手は、直前までのロレックス(女子世界)ランキングトップのリディア・コ(ニュージーランド)、2位のアリヤ・ジュタヌガーン(タイ)、3位のチョン インジ(韓国)、 4位のレキシー・トンプソン(アメリカ)を始めとして総勢43 名が参戦。その中には、野村敏京(20位)、宮里美香(66 位)、宮里藍(99位)も含まれています。そして、JLPGA所属選手では、10月14日(金)〜16日(日)に行われた「富士通レディース」終了時点での賞金ランキング上位35名が出場資格を得ました。賞金総額150万ドル、優勝賞金22万5,000ドルという国内最高金額の大会であり、来日選手にもJLPGAツアーの選手にも、1打たりともおろそかにできないビッグな大会です。11月2日(水)にはトーナメント会場の美野里コースでプロアマ戦が行われ、フォン シャンシャンチームが11アンダーで優勝。このコースが初めてという参加者も多く、プロアマ戦を楽しみながらも、各ホールの特徴やグリーンのアンジュレーションをキャディとメモするなど、余念なくコースチェックを行っていました。多くの参加者が語るのが「コースの長さ」でした。USLPGAが設定したオフィシャル・ヤーデージは6,646ヤード、新しくティーインググラウンドが造られた18番Par4は424ヤードもあることから「史上最強のPar4」ともいわれます。

トッププロが語る美野里コース

リディア・コ

「寒さでボールが飛ばず、とても長く感じられました。Par4ホールのセカンドショットでハイブリッド(ユーティリティウッド)を使うことが多くなりそうです。ショートアイアンを使えるホールでどれだけバーディーを取れるか。キーホールは、良いティーショットで2オン1パットのイーグルチャンスがあるPar5の17番と、グリーン手前に池があって距離の長いPar4の最終ホールです」

チョン インジ

「とてもコンディションが良いですね。距離の長いホール、グリーンが難しいホールもあります。狙いどころをしっかり決めていかなくては。日本では自分に合っているコースだと思います」

レキシー・トンプソン

「雨の影響もあって全体的に距離があるように感じました。Par4のセカンドショットで4番や6番を使わなければならないホールもあり、Par3ホールはどれも長いですね。あと、クラブハウス内にある『Select The Club』は、きれいなレイアウトで思わずショッピングしたくなる。」

笠 りつ子

「今日初めて回りましたが、アウトとインとまったく趣きが異なりますね。気候的にボールも飛ばないし、外国人選手には負けたくありませんが、自分がコースとどう向き合うかが大事になります」

堀 琴音

「今年出場した全米女子オープン選手権のコース(Corde Valle)に雰囲気が似ています。全体的にフラットながらドッグレッグホールなど変化に富んでいて、プレーしがいがありますね。Par5もきちんとマネージメントしてレイアップしないと木が邪魔になるし、グリーンもアンジュレーションがあって易しいラインに打たないとバーディーは取れません。ショットの精度がはっきりスコアに反映すると思います」

アリヤ・ジュタヌガーン

「チャレンジしがいのある素晴らしいコースです。特にフロントナインはタイトなホールが多く、ティーショットから気をつけなければなりません。各ホールでしっかりマネージメントをして打つコースは大好き。幸い今はショットが良いので自分に期待しています」

イ ボミ

「コースの第一印象は“長い”ですね。 18番のPar4は向かい風もあって3番ウッドを使いました。どのホールもグリーンが大きくてボールが止まるので、思い切って攻めていこうと思います。ただ、グリーン周りからはライやグリーンの傾斜によってスピンが掛からないこともあり、外さないようにしないと」

アン ソンジュ

「太平洋クラブだけあって素晴らしいコースですが、セッティングが難しくなっています。距離だけでもメジャーと同じくらいだし、今の季節はボールも飛ばず、長く感じます。ピンポジションも厳しくなるでしょう。コースの長さに負けないように楽しくプレーできたらいいですけどね」

距離短縮でも厳しいピンポジションにセッティングされ フォン シャンシャンが2日目からのトップを守って優勝

日米両ツアーのトップランカーが様々な思いを抱いてスタートした初日。平日にも関わらず、3,441名のギャラリーが来場。66をマークしてトップタイに立ったアリヤ・ジュタヌガーンは、「こんなに沢山のギャラリーに見守られてのプレーは初めて」とテンションも上々、ともに回ったアン ソンジュ日く、「2番アイアンで私のボールをキャリーで越えていく」パワーを見せつけました。ほとんどの選手が「長い」というコースを、「Par3以外のホールは3番ウッドと2番アイアンでティーショットした」と、飛距離のアドバンテージをスコアに結びつけました。もう一人のリーダーのカン スーヨン(韓国・女子世界ランキング126位)は 「18ホールで22パット。5メートルくらいのパーパットも幾つか入りました」とパットの好調さを強調。日本選手最上位は、「課題としていた Par5の2打目、3打目をしっかりマネージメントできました」と言う堀琴音が69で7位タイにつけました。
ムービングサタデーの2日目はスコアが大きく変動。初日3アンダーのフォン シャンシャン(中国・女子世界ランキング12位)が64を記録して通算11アンダーでトップに立ち、初日トップのアリヤ・ジュタヌガーンは 68で通算10アンダーの2位、3アンダースタートのスーザン・ペテルセンが66の通算9アンダー、69で回ったカン スーヨンとともに3位タイとなりました。堀琴音は大事なパットを幾つか外して69、通算6アンダーで12位タイに後退するものの日本選手最上位は守りました。フォン シャンシャンは、「決して易しいコースではないけど、今日はショットがとても良くてバーディーを8つ取れました。18番はプロアマトーナメントの時は424ヤードだったので難しく感じましたが、今日は374ヤードだったので上手く調整しバーディーが取れました」と、飛距離と正確なショットで64をマークしました。
最終日はフォン シャンシャンとアリヤ・ジュタヌガーンの二人の飛ばし屋が最終組でどこまで優勝スコアを伸ばすか注目されたものの、7番までほぼ動きはなし。しかし、8番Par 3でアリヤ・ジュタヌガーンがボギーを叩いて一歩後退すると、フォン シャンシャンが9番から11番までを3連続バーディーとして一挙にリードを広げました。さらに17番もバーディーで、最終18番は「リーダーボードを見たら3打差でトップだったので気が緩んだ」と3オン3パットのダブルボギーとしたもの、ジャン ハナに1打差の通算13アンダーで優勝を飾りました。日本選手では堀琴音が68で回って通算10アンダーで日本選手最上位の3位タイに入りました。
他の注目された選手の成績は、ディフェンディングチャンピオンのアン ソンジュが3位タイ(-10)、アリヤ・ジュタヌガーンが10位タイ(-8) 、レキシー・トンプソン、木戸愛、笠 りつ子、申ジエが14位タイ(-7)、野村敏京が19位タイ (-6)、リディア・コは43位タイ(-2)、イ ボミは49位タイ(-1)でした。

距離とピンの調整でツアーにふさわしいセッティングに
フォン シャンシャンの優勝とともに、堀琴音の3位タイも高く評価

多くの選手が「距離が長い」と言っていたためか、USLPGAサイドが距離を短く設定し、代わりにピンをグリーンエッジ近くに振ることでUSLPGAツアーに相応しいセッティングを実現したと感じました。リディア・コやイ ボミなどが恐れていた18番は、初日は409ヤード、2日目は374ヤード、最終日も385ヤードと424ヤードのティーインググラウンドは使われませんでした。
また、2日目にはオフィシャル・ヤーデージ520ヤードの12番と470ヤードの17番がそれぞれ472ヤード、456ヤードの短いPar5に短縮されました。6,646ヤードのオフィシャル・ヤーデージに対して3日間の総ヤーデージを記すと、初日が6,424ヤード、2日目が6,379ヤード、最終日が6,429ヤードと、3日間とも短めに設定されていました。一方でピンポジションは厳しく、最終日ではグリーンエッジから一番遠かったのは10番の左から10ヤードが最長で、2番は左から4ヤード、4番は左から5ヤード、5番は右から4ヤードというように、日本の女子ツアーでは見たことのないポジションにカップが切られました。当然、ピンがグリーンエッジに近いほどバーディーチャンスは少なくなります。保険を掛けてグリーンセンターに乗せればロングパットが残って3パットの恐れがあり、ピンを狙ってショートサイド(ピン寄りのグリーン外)に外せば、落としどころが狭くてアプローチショットが難しくなるため、よりピンを狙うショットの正確性が求められました。飛距離が出る上に前週のツアーで優勝して好調子のフォン シャンシャンの優勝は領けますし、堀琴音の3位タイも高く評価されるべきでしょう。

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