特集Vol.2:伝統の大会でクローズアップされた、江南コースのクオリティ。『第83回 日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯』を終えて。

2015年5月14日〜17日、太平洋クラブ江南コースで行われた日本最古のゴルフトーナメント『日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯』(7,053ヤード/Par71)は、オーストラリアのアダム・ブランドが4日間通算16アンダーで日本ツアー初優勝。今回で83回を数える伝統ある大会だけに大きな注目を集めたが、特に江南コースのショットバリューの高さやコースメンテナンスの素晴らしさが高く評価された。その模様を選手及び大会関係者のコメントとともに紹介したい。

構成/初見 進(日本ゴルフジャーナリスト協会会員)

初日〜最終日の流れと、大会を終えての江南コースの印象

初日〜最終日の流れ

初日

午前組のK.T.ゴンが8アンダー63で回ると、「20アンダーは超える?」と一部メディアもコメント。倉本昌弘PGA会長の会見初日では「トップの8アンダーは予想通り。攻めた選手が好調で、大舞台に疑心暗鬼だった選手は伸び悩んだ。午前と午後で風の影響によりスコアに差がつくが、明日は同じ条件。優勝スコアは15アンダー程度を想定している」と語った。

2日目

ベストスコアは午前組のS・K・ホと谷口徹の65。初日トップのゴンは午後組でパープレーの71。初日1打差2位タイのアダム・ブランドが午後組の中68で回り、通算10アンダーでトップとなった。倉本会長は「12アンダーを期待したが風で伸びなかった。明日は4日間で最も厳しく設定したい」と述べた。

通算3アンダー36位タイで予選通過したディフェンディングチャンピオンの手嶋多一も、「今日はピンの位置が難しかった。3月に練習で回った時と全く異なる。ラフが伸びていて、入ると距離感を合わせづらい。特にグリーンがカップ上から速く、横から少し曲がるラインだと怖い。コンディションが素晴らしく、難しくも易しくも設定できるコースだけに、優勝スコアも伸びないと思う」と予想した。

3日目

3日目ベストスコアはブランド、岩田寛、小林伸太郎の64で、平均スコアは69.775。初日の70.792、2日目の71.299と比べて易しいようだが、倉本会長は「昨夜の雨と当日の無風のせい。ピンポジションだけなら今日が最も難しいはず。なおトップは17アンダーのブランドで2位に6打差。逃げ切りが難しいようピンを立て、初優勝のプレッシャーも加味してカップを切りたい」と語った。

最終日

最終日のベストスコアは重永亜斗夢の66。しかし、ブランドは1〜3番まで1パットパーで凌ぎ、4番でボギーが先行した後は3バーディ、3ボギー。アダム・ブランドは通算16アンダーで日本ツアー初優勝、オセアニア勢として日本プロ初優勝を成し遂げた。倉本会長は「彼は称号に相応しいゴルフだった。右ドッグレッグのホールが多く、唯一のレフティなのも幸いしたが、ドローヒッターの彼が嫌がるピン位置にもキチンと対応できていた」と褒め称えた。

大会を終えての江南コースの印象

ブランドはフェアウェルパーティの会場で、「このような美しくて戦略性の高いコースで優勝できて嬉しい。セッティングは難しかったが、レフティの私のショットはストレートか少しドローなので、気持ち良くドライバーが打てた。ハウスキャディさんの尽力とコースの素晴らしさがスコアにつながった」と語った。

倉本会長は「ほぼ設定した優勝スコアに収まって大成功だ。僅か1年足らずで、意図する設定を実現できるコンディションに仕上げていただき、太平洋クラブの方々に感謝したい。日本プロ選手権の最高の舞台だ」と印象を語った。

今大会を振り返って

今大会の結果を踏まえて、改めて江南コースを観る

今回の大会では、ホール別難易度に興味深い発見があった。4日間通算で最難関は15番。通常パー5をパー4とし、500ヤード設定で平均ストローク4.423、パーに対して+0.423となった。続く2位は4番(446ヤード・パー4)の4.165、3位は3番(220ヤード・パー3)の3.147の対パー+0.147。
「434ヤードになって難易度が上がった」と噂された16番パー4は意外にも3.944で6番(178ヤード・パー3)、17番(188ヤード・パー3)と並び、−0.056で12位タイに留まった。アマチュアからみれば、16番の平均ストロークが4.0を切るプロは流石だ。
しかし、「あの短いパー4」と誰もが頭に浮かべ、プロなら1オンのチャンスも狙う330ヤード7番ホールで、初日の平均ストロークは4.056で対パーが0.056。18番パー4とともに6番目に難しいホールとなっていた。初日のピンは手前から10ヤード、右から4.5で、横長の瓢箪型の右の面に立っていた。144選手の内バーディが24名、パーが93名、ボギーが24名、ダブルボギーが2名、ダブルパー(=8)が1名だった3パットからボギー以上を叩いた選手が多く、パーで上がった選手では1パットだった選手が44名もいた。2オンしたのは僅か49名だった。

今大会の要所となった「7番ホール」

手嶋プロが練習ラウンドで廻った際の「7番ホール」の評価

手嶋プロが3月に練習ラウンドで廻った際、7番ホールについて、「短いが横に広く奥行きがない。グリーン手前は下り斜面で、左足下がりのライから縦幅のない瓢箪型のグリーンへのショットになり、ラフから距離を合わせるのが非常に難しい」と評していた。事実2オンできない人の大半はティーショットをラフに入れており、「いつもの通りだとヘッドスピードが減速されてショート。強く入れるとグリーンが速くてピンをオーバー」という状態だった。手嶋プロが語る最適な攻略法は、「残り100ヤード前後のフェアウェイに止まるようティーショットし、ウェッジのフルショットの距離を残すこと」だという。

設計家は「7番ホールは、江南コースの代表的なホールといえる」と語る

設計者の加藤俊輔氏は、「7番は最も設計しがいがあったホール。1オンもあるがルートは非常に狭い。外れれば、左足下がりのラフからのショットになり、奥行きのないグリーンになかなかバーディチャンスは付けられない。加えて、グリーンの左サイドの奥が8番のティーインググラウンドに開いており、風が微妙に影響する。正確なショットとミスショットとの差がスコア上にはっきり表れる『ショットバリューの高いホール』であり、江南コースの代表的なホールといえる」と語る。説明を伺って、日本最高峰のプロ達が苦戦した理由が理解できた。江南コースをラウンドする際には、コメントを思い出しながら7番ホールを味わっていただきたい。

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