思いの継承、そして昇華|Vol.5 太平洋クラブ社長 韓俊氏の思い

雄大な富士山の絶景に抱かれ、華やかな雰囲気の中、国内外のトッププロが集い、毎年熱戦を繰り広げる「三井住友VISA太平洋マスターズ」。その舞台となる「太平洋クラブ 御殿場コース」は、「一度はプレーしたい憧れのゴルフコース」として絶大な人気を誇り、太平洋クラブが国内に所有する17コースのフラッグシップとしての大義も担う。
行き届いたコースメンテナンスと、きめ細やかなサービス、洗練された空間に研鑽を積み、プロショップの新機軸「セレクト・ザ・クラブ」など、クラブライフの新たなる価値の創造にも挑み続けている。

そして、さらなる大舵を切ることとなった2018年のコース改修。1グリーン化を遂げた2001年以来となる壮大なチャレンジは、自らの成功体験に満足することのない姿勢の象徴とも言える。
昨年11月のトーナメント直前に計画の全容が発表され、今年1月から着工。そして現在は10月1日のグランドオープンに備える。※9月1日からプレオープン
これほどの大プロジェクトを、短期間にして、精度高く成し遂げることができた源は、多くの人の熱い思いに他ならない。

緑を湛える御殿場コース。丹念正確なメンテナンス作業によってトーナメントに向けた、さらなる精度向上が図られていく。

思いを束ねる緻密なコミュニケーション

US PGAツアーのビッグトーナメント開催コースでは、プロ選手の飛距離をはじめゴルフの進化に応じて、改修に着手することはスタンダードとなりつつある。「太平洋クラブ 御殿場コース」もそうした潮流を掴むように、「国際水準に通ずる、日本を代表するトーナメントコース」を目指し、今回の改修を断行した。 
ジャッジをしたのは太平洋クラブ社長・韓俊氏。決して迫られたものではなく、十分な評価を得て成功を収めている中、そこに留まることなく、自ら課題を想起し、実行へと動いたのである。

韓氏が深くこだわったのは、闇雲に難易度を追求するのではなく、御殿場コースの「原設計を大切にする」こと。「私はリース氏の『原設計を活かしたコース改修』の実績に着目しました。御殿場コースのヤーデージをこれ以上伸ばすには限界があり、そして単に難しくするだけではプレーヤーにとってフェアではありません」。
設計家の選定にあたっては、著名設計家による改修コースの視察に自ら赴き、目と足と心で感じながら考査を深めていった。
そして、松山英樹選手の監修(松山選手にとってもファーストキャリア)としての参加も、韓氏の改修にかける熱い思いの現れである。
「アンフェアかどうかのジャッジにはプロゴルファーの意見も必要です。世界と日本の双方のトップレベルを知る松山英樹プロに監修をお願いし、ますます挑戦意欲を掻き立てるコースを目指します」と語る。
韓氏は、御殿場コースにおいても、ティーインググラウンドからフェアウエイ、グリーン、さらに前後左右の景観に至るまで、機会あるごとに観照を重ねてきたという。
改修が進むコースにも幾たびと訪れ、リース・ジョーンズ氏をはじめスタッフと共に1ホールごとにコースを巡り、説明・質問・確認という入念なセッションを繰り返す。時には韓氏からアイデアを提案することもあった。経営者であると同時に、プロデューサーとディレクター、両輪の動きも果たしてきたと言える。
例えば17番、池越えのパー3では、グリーン手前、右側のバンカーの形状は、韓氏の提案に賛同したリース氏が再調整を加えたものとなっている。

ホールごとに、ティーインググラウンド、フェアウエイ、グリーン周り、全てのロケーションで入念なセッションが続けられた。

ティーインググラウンドに立った時の美しさにもこだわった韓氏の提案によってブラッシュアップが図られた。

世界レベルのリゾートコース

加藤俊輔氏が描いた原設計へのリスペクトを胸に、“オープンドクター”リース・ジョーンズ氏が紡ぎ出した新生「太平洋クラブ 御殿場コース 」。精度を増したチャンピオンコースとしての戦略性と、磨き上げたビューバランスによって、国際水準のトーナメントコースへの進化を果たすこととなった。
ビューバランスという点では、雄大な富士山を仰ぎ見るリゾートコースとしての美しさにも注目したい。これは先にも述べたが、韓氏が御殿場コースに立つたびに、営々と「前後左右」の景観に至るまで、観照を重ねてきた成果でもある。
改修後の御殿場コースを訪れる機会を得た方は、是非、富士山という視点でもラウンドを楽しんでみてほしい。18ホールを巡る中、ティインググラウンド、フェアウエイ、グリーン、様々なエリアから雄大な富士の絶景をより綺麗に望むことができるようになっている。
富士山に抱かれながら、緑を湛えた爽やかな新緑の季節、夏の爽快な避暑ラウンド、紅葉に彩られた秋の趣……、季節ごとに御殿場コースが纏う「美」に触れることも、ラウンドの意義となるだろう。

5番ホール、ティーインググラウンドから望む富士の雄姿

リース・ジョーンズ氏も、リゾートコースとしてのポテンシャルの高さに注目。最近のゴルフコースランキングはシーサイドコースが占める割合が多い中、富士山の麓に広がる御殿場コースは独自の個性を放ち、世界の名コースとして評価される実力が十分にあると指摘する。そして韓氏の造詣の深さと真摯な姿勢にもリスペクト。
「富士山が綺麗に見えるという点(仕事)は、韓社長のクレジットを入れてくれ」と話していた。
富士山への思い。これもまた今回の改修の大きな源なのである。

次回の『思いの継承、そして昇華』は、「コーススタッフの思い」を掲載いたします。